「株を買ってみたけどいつ売っていいのかわからない」そんな経験はないでしょうか?
株はよく買うタイミングに注目しがちですが、実は利益を確定したり損失を限定するためにも、売るタイミングも重要です。
初心者の方は特に迷われる部分だと思いますので、今回は私が考える売るべきタイミングを解説してみました。
これらはあくまでも一例ですので、本格的に投資を始める場合は、ご自身で参考にしながらルール化してみてください。
初心者はどのようなタイミングで売れば良いか
では実際初心者はどのようなタイミングで株を売ればよいのでしょうか。理想は十分に利益が乗っていて、株価のピーク付近で売れれば最高だと思います。
ピーク付近で売れれば、利益も最大化していますので、トレード的には大満足だと思います。
ですが、現実的にはピークで売るなんて事はほぼ不可能です。
株価は様々な要因で決定されますので、理想ばかりを追ってしまうと、時には手痛いダメージを負ってしまう事も多々ありますので、注意してください。
このダメージは、人によっては深刻なものになってしまう時もありますので、そうならないためにも、私個人としては簡単な売買のルールを設定しておく事をオススメしています。
ルールを設定しておけば、自分の投資行動で迷うことも減りますし、リスクを低く抑えることもできるはずです。
次の項目から具体的に解説していきたいと思います。
ポイントは自分の思惑と外れた時は売る。目標の株価に達したら売る。という事です。
自分の思惑と外れた時は売ろう
株は必ず上がる代物ではありませんので、時には思惑が外れて下落してしまう場合もあります。
人によっては、「どうせまた上がるんだろ?」と対応しない方もいるかもしれませんが、株においては、この「また戻るだろう」という考え方は危険です。
なぜこの考え方が危険かは、こちらのチャートを見て頂ければわかると思います。
こちらは中京医薬品の今年のチャートなのですが、ウイルスによるパンデミックが起きていた時、株価は1番高い所で1598円の値段をつけています。
その後、ピークを過ぎて下がっていきましたが、1086円以上の高い所で買ってしまった方は、一度も救済される事なく損失を抱え続けていることになります。
この時に、もし自分が株を売れずに持ち続けてしまっていたらどうなっているでしょうか?
最初は「まあ戻るだろう」なんて甘く見ていても、日に日に減っていく自分の資産を目の当たりにして、必ずつらい思いをしているはずです。
こういう苦しい思いをしないためにも、自分の思惑と外れてしまった時は、一度株を整理して、利益を確定したり、損失を限定する事も大切です。
もちろん何かの拍子で株価が急騰して、時には自分が買った位置まで戻るときもあるでしょう。
ですが、そのような経験をしてしまった方は、「次も戻るだろう」と安易に追い込んでしまいますので、回復不能な状況が訪れた時に、とんでもない損失を食らってしまうのです。
こちらは倒産が決まったNutsという会社です。
株価は右肩下がりで下がってしまい、ついには価値すらなくなってしまうことになりました。
相場や経済の状況が悪化した時も売ろう
株は会社の業績や需給バランスだけではなく、相場や経済の状況も強く影響を受けます。
例えば記憶に新しい所で言えばリーマンショックです。
リーマンショックでは、元々はアメリカの住宅バブルの崩壊、サブプライムローン問題、リーマンブラザーズの破綻という流れをたどりました。
海の向こうの事ですし、最初は対岸の火事のような感覚だった方もいたかもしれません。
ですが、そこから株は売られに売られて、2018年の10月にはなんと日経平均株価が6994円という史上最安値を叩き出してしまったのです。
この時は、株に限らず債券、投資信託など、ありとあらゆるものが売られていきました。
私自身、1銘柄だけ保有していたので自分の株が紙くずになってしまうのでは無いかと恐怖を感じた事よく覚えています。
明らかに経済がクラッシュしていましたし、とんでもない事が起きていましたが、初心者であった私はその重要性に気づけず、最初はなかなか株を売る事ができなかったのです。
その後、下がり続ける株を見て、これはヤバイと思って売るわけですが、初期の段階で売却できていれば、被害も相当少なかったはずです。
このように、経済の状況や相場の環境が変わってしまうと、企業が優良だったとしても、株は関係なく売られてしまう場合があります。
どこまでその影響が続くかは誰にもわからない事ですので、過剰なリスクを避けるためにも、一度株を売り、ポジションを整理する事も大切です。
なぜ直接関係ない株まで売られてしまうの?
これにはいくつかの要因があるのですが、一つは追証をさけるための現金化の動きです。
株の世界では、信用取引というものがあって、自分の持ってる株や現金を担保として、その約3.3倍までの取引を行う事ができます。
100万円しか持っていなくても、信用取引を使えば約300万円の取引ができるため、株が思った方向へ動けば、その分大きな利権を上げることができます。
ですが、大変なのはその逆の方向へ動いた時です。
手元には100万円しかありませんので、それ以上の損失が出てしまえば、その分の差額は当然自分の借金として降り掛かってくることになります。
そうならないようにするために、株の世界では保証金の維持率が一定の水準まで下がると、追証というものが発生して、追加の担保を求められることになります。
追証が発生してしまうと、期限までに追加の入金が必要になり、お金が用意できない場合は、強制的に株が決済される仕組みになっています。
多くの方は、そのような自体をさけるために、自分の持っている株を売却して現金の確保に動きます。
下落していない株でもとにかく売って現金化をしようという圧力が働きますので、この動きによって、関係ない株まで下がってしまうのです。
その他にも、経済状況が悪化すれば連鎖倒産や資金繰りの悪化が予想されます。
今影響が出ていなくても将来的にはどうなるかわかりませんので、安全性考えて株を売ったり、安くなった所で再度買うために現金を確保したりする方もいます。
様々な思惑が重なって株が売られやすくなりますので、経済状況悪化した時は、相場の状況をよく見ながら自分の投資行動を決めないといけません。
目標の株価に達したら売ろう
これも初心者方が意識したほうが良いポイントなのですが、株を買ったときは、必ず目標の株価を設定しておいた方がよいです。
これをしないと、どこで利食いをすればいいのかわかりませんので、ダラダラ株を持ち続けてしまい、結果的に売り時を逃す場合があります。
目標株価の設定方法は人それぞれだと思いますが、まずは何%上がったら売るとか、簡単なルールを作りながら試してみてください。
また、もし目標の株価を突破して更に上げていきそうな時は、「逆指値」という注文方法を使うことも効果的です。
これについては後でまた解説しますので、そちらを参考にしてみてください。
目標の株価に達する前に状況が変わった場合は?
株を買ったときに目標の株価を設定したけど、状況が変わって下げてしまった。なんて経験はないでしょうか?
経済状況の悪化やネガティブなニュース、企業の業績悪化など、一度は誰もがこのような場面に遭遇するはずです。
そんな時は、この値段で買ってここの目標で売る。という当初の前提が崩れていますので、一度ポジションを整理して、様子を見るのも有効な手です。
株を売却してしまうと、その後の上昇分は取れない可能性もありますが、下落をして損をする。というマイナスな状況は避けれるはずです。
投資を行う上で、この行動はリスクコントロールとして大事なポイントですので、自分なりにどこまで許容できるのか考えてみると良いと思います。
うまく利益を伸ばすコツは?
上記で目標株価に達した時も株を売るべきタイミングと解説しましたが、実はそこから更に利益を伸ばす方法もあります。
合わせて解説していきたいと思います。
逆指値を活用しよう
逆指値とは、「株価が上昇して指定した値段以上になったら買い」「株価が下落して指定した値段以下になったら売り」という事ができる注文方法です。
なぜこの逆指値を活用すると良いかというと、それは一定の利益を確保しながら、さらにその拡大を狙えるからなのです。
どういうことかというと、逆指値は指定した値段以下(以上)になった時に自動で売買してくれる注文方法です。
含み益ができている時に設定しておけば、そのまま株が上昇していけば利益はどんどん伸びていきますし、反対に下落しても自動で売却してくれますので、一定の利益を確保しながらリスクを最小限に抑えられるのです。
この逆指値の値段をどこで設定するかは結構難しい時もあるのですが、うまく使えば効果的でもありますので、自分の投資方法に合わせて活用してみてください。
株を少しづつ売却していこう
もう一つ利益を伸ばすやり方としては、株を一気に売るのではなく、少しずつ売却していく方法もあります。
具体的にどういう事なのかと言うと、自分が設定した目標に株価が達したら、保有している株の半分から3分の1程度を売却していきます。(私は半分売ることにしています)
その後、株価が上昇していけば、更に頃合いを見て残り分を売却していきます。
このようにする事で、一定の利益を確保しながら、さらに上値を狙っていくことができます。
また、もし株が下がってしまっても、一部はすでに利益を得ている状態ですので、残りも焦らず売却していけば、下落のリスクを小さく抑える事ができるはずです。
楽天証券のトレイリング注文を使おう
楽天証券のトレーディングツールには、トレイリング注文という特殊な注文方法があります。
トレイリング注文とは?
逆指値注文を設定しつつ、株価が自分にとって有利な方向に動いた場合は、逆指値価格を自動で修正する注文です。
損失を限定しつつ、利益の拡大を狙うことができます。
トレイリング注文 | マーケットスピード II | 楽天証券のトレーディングツール
この注文方法を使えば、最初に逆指値で設定した値幅で、注文を自動で修正してくれます。
これによって、株価が思惑通りに動けば利益を伸ばす事ができますし、反対に逆に動いてしまった場合は損失を限定する事が可能となります。
例)
現在100円の株があり、トレイリング注文を使って90円の所で逆指値を設定した。
株が120円まで上がったら、逆指値も自動で修正され110円に設定された。
その後、株価は110円まで下がったが、逆指値が発動し10円の利益を確定した。
※こちらの注文方法は東証のみとなっています。PTSでも利用できませんので注意してください。
まとめ
今回は初心者が株を売るべきタイミングとして、簡単なルールを作る方法をご紹介してみました。
記事の中では「自分の思惑と外れた時は売る」「相場や経済状況が悪化したら売る」「目標の株価に達したら売る」という3つの例を解説してみましたが、これが全てというわけではありません。
経験を積むにつれて自分なりの方法も見つかってくると思いますので、様々なものを取り入れながら、自分の投資スタイルを確立していってみてください。